多く蔵する者は厚く亡ふ

「多く蔵する者は厚く亡ふ、故に富は貧の慮りなきに如かざるを知る。高く歩む者は疾く顚る、故に貴は賤の常に安きに如かざるを知る」(菜根譚)

たくさんのものを持っている、高い地位にいるということは、世間的には羨望の対象であろうが、その分失う恐怖が大きいということであろう。心穏やかとはいかないかもしれない。

自分があまりそういうものに惹かれないのも、煩わしさの方が勝ってしまうからだろうか。まあ自分の場合は普通一般の生活と言われるものさえかなり煩わしく、普通であらねばならないという思い込みから、かなり不自由な生き方をして体調を崩してしまった。

「多蔵」や「高歩」はいうまでもなくストレスフルかもしれない。世間的には多く持っていたり、地位が高かったりすれば、それは成功といわれるものだが、物事には裏表があるということだろうか。

「多くのものを所有すれば」「人から羨ましがられるような立場になれば」それで解決されるという思い込みがあるのかもしれない。物事の負の側面が持たざる者からすれば見えづらいということだろうか。

良い面ばかりに目がいってしまう。こうすればすべてOKみたいな答えに飛びついてはいけないということも言えそうだ。「多蔵」や「高歩」はとても魅力的に映る。だからといって自分が満たされないのはそういう状態に至っていないからだと短絡的に考えてしまう。

本来それは本質的な問題ではないのに、こういう考え方をしていると、いざ自分が成功したとき虚無感を覚えてしまうのではないかと思う。今の自分を楽しめないものが何かを得ても根本的解決にならないのではないか。今を生きることを追求して行きたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました